院長コラム(病気の解説)
生活習慣病と循環器系の
病気について
生活習慣病と循環器系の病気、さらに循環器系の特殊な治療法などの簡単な解説を院長の岡部がさせていただきます。循環器領域の全ての領域を取り扱うことは無理なので、話題を絞った重点的な解説になると思います。 お話の全体像(予定)は下記の通りです。完成した部分から順次 掲載していきます。 まずは、生活習慣病である高血圧と糖尿病の解説から始めましょう!
以下の病名をクリックすると、その項目へジャンプします。
生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)
生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)
詳しくはこちら生活習慣の偏りや歪みが原因で起こる病気の総称です。症状がないので甘くみていると、脳梗塞や心筋梗塞などこわい病気になるかも知れません。
<サイドメモ>遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」 家森幸男著(集英社 インターナショナル)高血圧症(こうけつあつしょう)
詳しくはこちら上の血圧(収縮期血圧)140mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧)90mmHg以上、あるいはその両方が当てはまる場合が高血圧症です。塩分の摂り過ぎ・肥満・運動不足などがよくありません。
<サイドメモ>「まずは、4%の減量を!」糖尿病(とうにょうびょう)
詳しくはこちらインスリンは、血中のブドウ糖(血糖)を下げるホルモンです。インスリンの量や働きが低下して血糖が制御できなくなった状態が糖尿病です。
高脂血症(高コレステロール血症)・脂質異常症(こうしけっしょう(こうこれすてろーるけっしょう/ししついじょうしょう)
詳しくはこちら悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)が高い場合が「高コレステロール血症」です。中性脂肪が高い場合や、善玉コレステロール(HDL-コレステロール)が低い場合と合わせて「脂質異常症」といいます。
睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)
睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)
詳しくはこちら眠っている間に、喉が詰まって呼吸が止まることを繰り返す病気です(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)。1分以上、呼吸が止まることもあります。
不整脈(ふせいみゃく)
脈拍が早くなったり遅くなったり、脈が飛んだりなど、心臓の拍動のリズムの乱れの総称が「不整脈」です。
心臓での正常な電気信号の伝わり方
詳しくはこちら心房と心室が連動して効果的に収縮できるように、心臓の電気信号は、1回の心拍毎に決まった経路(房室刺激電動系)を伝わって心臓全体に拡がります。
頻脈性不整脈(ひんみゃくせいふせいみゃく)
頻脈とは早い脈のことです。頻脈性不整脈では、脈拍が 120〜150/分以上になることが多いです。
心室性期外収縮と上室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく と じょうしつせいきがいしゅうしゅく)
詳しくはこちら電気信号が、正常脈よりも早いタイミングで発生するのが期外収縮です。電気信号の発生源が心室の場合は心室性期外収縮、心房の場合は上室性期外収縮です。
心房細動(しんぼうさいどう)
詳しくはこちら命に関わる危険な不整脈ではありませんが、「寝たきり」になるような大型の脳梗塞のリスクがあります。
徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく)
徐脈とは遅い脈のことです。徐脈性不整脈では、脈拍が 40〜50/分未満になることが多いです。
洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)
詳しくはこちら心臓の電気信号は、右心房にある洞結節で発生します。洞結節での電気信号の発生や、洞結節から心房への電気信号の伝わり方に異常がある場合に起こる不整脈です。
房室ブロック(ぼうしつぶろっく)
詳しくはこちら電気信号が、房室結節で伝わりにくくなった場合に起こります。房室結節は、電気信号を心房から心室へ伝えるターミナルです。
右脚ブロックと左脚ブロック(うきゃくぶろっく と さきゃくぶろっく)
詳しくはこちら房室結節を通った電気信号は、右脚と左脚を通って右心室と左心室に拡がります。電気信号が、右脚(左脚)で伝わりにくくなった状態が右脚ブロック(左脚ブロック)です。
カテーテルアブレーション
詳しくはこちら不整脈の原因部位を「カテーテルで高周波焼灼」する、あるいは「冷凍バルーンで冷凍凝固」させて不整脈が起こらないようにする治療法です。
電気的除細動(心房細動)(でんきてきじょさいどう(しんぼうさいどう))
詳しくはこちら強い電流(電気ショック)を心臓に流して、バラバラになった心臓のリズムを一気に正常脈に戻します。本項では、心房細動に対する電気的除細動を解説します。
人工ペースメーカー(じんこうぺーすめーかー)
詳しくはこちら小さな体内植え込み型の器械で、心電図を監視して徐脈性不整脈のため欠落した脈を感知し、それを補うために電気信号を適切に発生させる働きがあります。
虚血性心疾患(冠動脈疾患)(きょけつせいしんしっかん(かんどうみゃくしっかん))
虚血性心疾患とは?(きょけつせいしんしっかんとは)
詳しくはこちら動脈硬化のために心臓を栄養する冠動脈にコレステロールが溜まって、血流が障害された状態です。冠動脈の血流が著しく減ると狭心症が、完全に遮断されると急性心筋梗塞が起こります。
急性心筋梗塞の診断と治療(きゅうせいしんきんこうそくのしんだんとちりょう)
詳しくはこちら1分でも早くカテーテル治療(経皮的冠動脈形成術、略してPCI)を行って、冠動脈の血流を再開通させることが最優先です。
<サイドメモ> ドア・ツー・バルーンタイム —急性心筋梗塞の治療のキーポイント!—狭心症の診断と治療(きょうしんしょうのしんだんとちりょう)
詳しくはこちら冠動脈の血流障害があるので、階段を登るなど心臓の酸素必要量が増えると一時的に心筋が酸欠状態になり胸の圧迫感などを感じます。薬物療法と、PCIや冠動脈バイパス手術などの非薬物療法があります。
冠れん縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)
詳しくはこちら正常に流れている冠動脈にいきなり強いけいれん収縮が起こり、冠動脈が細く縮んで血流が大幅に減り心筋が酸欠状態になることが原因です。
<サイドメモ> ニトログリセリンの舌下経皮的冠動脈形成術(PCI)(けいひてきかんどうみゃくけいせいじゅつ)
詳しくはこちらバルーンカテーテルや冠動脈ステントを使って、動脈硬化で生じた冠動脈の狭窄や閉塞を血管の内側から押し拡げて血流を回復させる治療法です。
<サイドメモ>橈骨動脈アプローチ <サイドメモ>PCIを支える画像診断 <サイドメモ>PCIの特殊な治療器具虚血性心疾患の外来治療(きょけつせいしんしっかんのがいらいちりょう)(抗血小板薬の管理と二次予防)
詳しくはこちら外来治療の最大の目標は、狭心症の増悪や心筋梗塞の再発を防ぐことです。そのためには、抗血小板薬を飲み続けることや、高コレステロール血症・糖尿病・高血圧症などの冠危険因子の治療が重要です。
心不全(しんふぜん)
心不全とは?(しんふぜんとは)
詳しくはこちら何らかの原因で心臓のポンプ機能が障害されたために、息切れやむくみが起こり身体活動が損なわれ、数年に渡ってだんだん悪くなり命を縮める病気(病態)です。
<サイドメモ>左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)心不全の診断(しんふぜんのしんだん)
詳しくはこちら採血検査ではBNP・NT-proBNPが重要で、どちらも心不全が重症なほど高値となります。左心室の大きさや収縮能がチェックできる心エコー検査は、心不全の診断に不可欠です。
心不全の治療(しんふぜんのちりょう)
詳しくはこちら急性心不全では臓器のうっ血を軽減させて息切れなどの自覚症状をとること、慢性心不全では症状がとれて安定した状態(安定期)をできるだけ長く保つことが肝要です。
<サイドメモ>心不全治療薬としてのβ遮断薬 <サイドメモ>心筋(または心室)リモデリング <サイドメモ>体重に応じた利尿薬の調整心不全の再入院を防ぐために(しんふぜんのさいにゅういんをふせぐために)
詳しくはこちら心不全が「だんだん悪くなる」のを阻止するため、再入院を減らす必要があります。再入院を防ぐには、多職種によるチーム医療や、地域の医療・介護施設を総動員した地域医療連携が重要です。
心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)
心臓弁膜症とは?(しんぞうべんまくしょうとは)
詳しくはこちら心室の入口と出口にある逆流防止弁が、うまく働かなくなった状態です。血液が通り抜け難くなった狭窄症と、弁がきちんと閉じなくなった閉鎖不全症があります。
心臓弁膜症の診断(しんぞうべんまくしょうのしんだん)
詳しくはこちら診断のきっかけは、心雑音や心電図、息切れなどの症状です。心電図変化や自覚症状は心臓弁膜症が進行してからじゃないと現れないので、病初期から聴診でわかる心雑音が重要です。
心臓弁膜症の治療(しんぞうべんまくしょうのちりょう)
詳しくはこちら心臓弁膜症は、薬では治らないので外科手術が必要です。基本的な手術法は、生体弁や機械弁に取り替える人工弁置換術と、変形した弁を修復する弁形成術です。
<サイドメモ>大動脈弁狭窄症の外科的治療(TAVI:タビ) <サイドメモ>二次性僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療(マイトラクリップ®︎) <サイドメモ>僧帽弁狭窄症の外科的治療(イノウエ・バルーン)感染性心内膜炎(かんせんせいしんないまくえん)
感染性心内膜炎とは?(かんせんせいしんないまくえんとは)
詳しくはこちら血液中に侵入した細菌が弁に付着して起こる病気で、僧帽弁と大動脈弁に好発します。罹患した弁の組織は破壊されて、逆流(閉鎖不全症)を生じます。
<サイドメモ>抗菌薬の予防にまつわる話感染性心内膜炎の治療(かんせんせいしんないまくえんのちりょう)
詳しくはこちら多めの抗菌薬(抗生物質)を長めに投与する必要があります。それでも炎症が治らない場合や、内科的治療では治せない心不全がある場合は、外科手術が必要です。
大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)
大動脈瘤とは?(だいどうみゃくりゅうとは)
詳しくはこちら大動脈の一部がふくれた状態(紡錘状大動脈瘤)、または袋状に突出した状態(囊状大動脈瘤)。CT検査などで偶然見つかることが多いです。
大動脈瘤の治療(だいどうみゃくりゅうのちりょう)
詳しくはこちら破裂する前に外科的治療を行います。大動脈瘤を人工血管に取り換える手術と、大動脈内からステントグラフトで塞ぐ治療があります。
大動脈解離(だいどうみゃくかいり)
大動脈解離とは?(だいどうみゃくかいりとは)
詳しくはこちら大動脈壁内に血液が流れ込み、大動脈壁が切り裂ける病気です。心臓に近い上行大動脈に解離があるA型と、認めないB型があります。
大動脈解離の治療(だいどうみゃくかいりのちりょう)
詳しくはこちらA型解離は命に関わる合併症が多いので、外科的治療が必要です。B型解離は、痛みをとる血圧を下げるなどの内科的治療が原則です。
足の閉塞性動脈硬化症(PAD) (あしのへいそくせいどうみゃくこうかしょう)
PADとは?(PADとは)
詳しくはこちら動脈硬化によって足の動脈の内腔が狭くなる、あるいは閉塞したために、足先まで血液を充分に供給できなくなった状態です。
<サイドメモ>「下肢の閉塞性動脈硬化症」の呼び名についてPADの診断(PADのしんだん)
詳しくはこちらPADを疑ったら、まず足の動脈の拍動を触診し、足関節上腕血圧比(ABI:Ankle Brachial Indexの略称、足関節血圧/上腕血圧)を測定します。
PADの治療(PADのちりょう)
詳しくはこちら無症状の場合もスタチン(高脂血症治療薬)は必須です。間歇性跛行には運動療法や薬物療法を行い、改善しない場合はカテーテル治療やバイパス術を考えます。