徐脈性不整脈:房室ブロック
房室ブロックって、何?
心房と心室は電気的に絶縁されていて、心房から心室への電気信号の通り道は房室結節だけです。房室結節での伝導性が低下して、電気信号が心房から心室へ伝わりにくくなった状態が房室ブロックです。例えば、心房では毎分80回の電気信号が出ているのに、心室にはその全てが伝わらず毎分40回の心拍しかみられないということが起こります。
どんな症状があるの?
房室結節での電気信号の伝わりにくさは様々で、軽症から順にⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分けられます。
Ⅰ度は、電気信号は心室に伝わるが伝わる時間が伸びている(P波とQRS波の間隔が延長した)状態。Ⅱ度は、時々あるいは2〜3回に1回、P波に続いて発生すべきQRS波が欠落する状態。Ⅲ度は、心房からの電気信号が心室に全く伝わらない状態です。
心室には一定のリズムでQRS波を発生させる自動能があるので、Ⅲ度房室ブロックになってもゆっくりですが心拍はあります。大まかに言って、Ⅱ度の多くとⅠ度では、深刻な問題はなく心配ありません。Ⅱ度の一部とⅢ度では、脈が遅くなってふらつきや失神をきたしたり心不全を起こす可能性があります。このような場合には、ペースメーカー植え込み手術が必要です。
房室ブロックの原因が心臓病のことも・・・
房室ブロックは洞不全症候群と違って、原因となる心臓病があることが少なくありません。ペースメーカー植え込み手術を考えないといけないような高度の房室ブロックでは、大きな病院で心臓病のスクリーニングを受けることが必須です。
もし、原因となる心臓病が見つかった場合は、その心臓病に対する治療で房室ブロックが治ることがあります。
Aでは、心房の電気信号(P波)の2回のうち1回しか心室に伝わっていません(2:1房室ブロック)。
Bでは、心房(P波)と心室(QRS波)の電気信号の関連性はなく、心房からの電気信号は心室に全く伝わっていません(Ⅲ度房室ブロック、または完全病室ブロック)。
心室は、自前の電気信号発生機能(自動能)を働かせてQRS波を発生させています。
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